浦島太郎のその後


浦島太郎のその後

竜宮城に行って、乙姫様からもらった玉手箱を開けた浦島太郎は、煙とともに白髪頭のおじいちゃんになってしまった。
現代語訳された浦島太郎の物語は、そこで殆ど終わっている。
物語によれば、すでに700年が経過していたという事になっているが、その後、彼はどうなったかというのが、江戸時代の御伽草子に記されている。
「さて、浦島太郎はその後、身は鶴に変じて大空へと飛び立った。そもそも浦島の齢(よわい)を亀がはからって箱の中にしまっておいたのである。それゆえに、700年の高齢を保つことが出来た。開けてはならないものを開けてしまったとは、是非もない。君に会う夜は浦島が玉手箱開けて悔しきわが涙かな。君に会う夜は、はやあけそめてくやしや、あけてくやしい浦島の玉手箱」とある。
そう、あれから浦島は、大空に羽ばたく鶴に大変身したのだ。そして仙人の住む蓬莱山で亀と愛を添い遂げるというものだようだ。

実はこの亀は、乙姫様。
「三年間固い夫婦の契りを交わしたのに、今別れたら次はいつの世で逢えるのでしょう」と嘆いた乙姫は、なぜ、玉手箱を浦島太郎にあげたのだろうか。
浦島太郎が、そもそも、玉手箱を開けるのを予感してあげたに違いない。
浦島太郎は「開けてはいけない玉手箱」を開けたから、おじいちゃんになった。だから、約束は守ってください。と言うように、教訓があるようにみえる。
しかし、乙姫様が、あえて、浦島太郎は玉手箱を開けるだろうと思っていけば、それは覆される。
この浦島太郎の潜在的教訓は、異民族との結婚話しではないか。
浦島太郎は、竜宮城で何不自由なく乙姫と暮らしてきた。
ところが、浦島太郎は「三十日の暇をくれ。両親を見捨て、何も言わずに家を出て三年にもなる。両親に会わなければ心が落ち着かないよ」と、突然言ったら、乙姫はあまりいい顔しないだろう。
もう、戻ってこないかもしれないと思うかも…
しかし、故郷には、すでに見知った人々はおらず、村人の冷たい目ばかりだったする。
けっこう昔の人は、見知らぬ人には冷たいものだ。
それで、ワラにもすがる気持ちで、玉手箱を開ける可能性が高いので…
いったん故郷を離れ、故郷を忘れてしまった人間は、もはや二度と故郷では受け入れてもらえない。「村を離れては、幸せなることはない」という村存続の教訓があるんじゃないかと思ったりする。


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