本命竜馬家での恐怖の実態報告


 本命竜馬家の伝説にして報告しよう。
 本命の実家は約二十年前に二階建てに新築したが、それまでの家には妙な伝説があった。
 おめでたい事が近々有る時、本命家の屋根から金銀の玉が落ちてくるという伝説だ。
 これは嘘でも、本当でもない。
 あっ。
 本当と思うなら、近所の人に聞いてみろ。
 38年前にも金銀の玉が落ちたが、その三日後に俺が生まれたのである。
 今は死んでいないが、祖父の祖父の祖父曰く「屋根から金銀の宝玉が落ちて、ヤーネ」と大爆笑。
 本命家では生まれたばかりの赤ん坊を裏山に連れて行き、泣き止むまで一時間でも一日でも一年でも、ほっておくと言う風習がある。
 そうすれば、将来、天下を取るという言い伝えがある。
 勿論、俺もそうされたが、実を言えば俺には兄がいた。
 が、裏山にほって置かれた時に、山犬に喰われてしまったのだ。
 妹もいたのだが、捨て子だと思われて、どこかの金持ちに拾われている。
 もしかしたら、今、このサイトを読んでビックリしているかもしれない。
 また、昔は裏山の頂上には大きな湖があり、恐竜がいると言われていた。
 本命家の先祖が第一発見者だったので「ホンシー」という名がついているが、今では、恐竜がガバガバと湖の水を飲んで、湖はなくなり、不思議と恐竜もいなくなっている。
 「ホンシー」の化石が出てきて、マスコミに騒がれた事があるが、実はここだけの話し、あれは祖父の入れ歯なのだ。
 その入れ歯は、サランラップで包み、仏壇に飾っているので、俺の実家に来た時は観光に来てくれ。
 おっと、忘れていた。
 本命家を語る上で一番大事な事。
 本命家での味噌汁は滅茶苦茶臭い。
 味噌汁の代わりに、糞を使っているかもしれない。
 また、家族は時々、気が狂いゴキブリを捕まえては、蒸し焼きにしたりするが、ネズミを捕まえた時には花火にしてしまう。
 あっ、兄弟喧嘩した時には酷い。
 母の拷問が待っていた。
 小言攻撃に、水ぶっかけ攻撃である。
 そして、仲直りの儀式に盃を交わす。
 一度、母親の金をネコババして、破門になった事がある。
 指こそ切らずに済んだが、メシ一ヶ月抜きというのは辛かった。
 中学時代、綺麗な女の家庭教師を雇ってもらったが、これが厳しかった。
「この問題が解るまで、息を止めていろ」とか「第一世界大戦が始まった年は何年? 早く答えないと第三次世界大戦を起こしちゃうわよ」とか、手厳しい。
 その癖、母がお茶と珍しくケーキなどを持ってくると、この女家庭教師の性格が急変する。
 その時に、俺は女の恐ろしさを知った。
 また、愛想笑いの気持ち悪さを知った時も、この時だ。
 時々、本命家では、盗聴器を発見する時がある。
 誰が仕掛けているのか、今でもわからない。
 大学時代、盗聴器を床の間に置いてある百兆円の壷の中で発見した俺は「わーっ」と大声で叫んだら、なぜか、隣りの家が騒ぎ出し、不思議に思った事がある。
 本命家の隣りの家には、初恋の人が住んでいるが、昔、カエルの解剖ごっこして遊んだ事をよく覚えている。
 ただ、人間の解剖ごっこの方は、あまり覚えていないが…
 あっ、話しを変えよう。
 本命家の倉庫を探索すると面白い物が次から次に出てくる。
 完全羅針盤や完全裸体版、ビフィズス菌とかゴジラのウンコ、日付け変更線まで出てくる。
 本命家の先祖が書いた小説『吸血鬼の復活』を見つけた時には、さすがに驚いた。
 中に蚊が干からびて死んでおり、背中に悪寒が走った。
 この恐怖は、三ヶ月間は夜中にトイレには行けなくなった。
 東京ドームの五千倍怖い(?)
 話しは「吸血鬼は埋葬されたが、吸血鬼の怨念は生きていた。十字架が突き刺さった胸から血が流れ、墓場の土を化学変化させ、土に呪いの生命を与え、次々に墓場に訪れる人間を土が襲い掛かってくる…」
 ストーリーは、たいした事はないが、描写がリアル。
「土が娘の全身に張り付き、血を吸い取ってゆく…」
 おっと、また珍しい物発見。
 タイムマシーンだ。
 俺はこれを売る事に決めた。
 このサイトを読んだお礼に、これ一台、大安売りで一億円で、どうだろう。
 買いたい方はいませんか…
 ただ、引渡しは、タイムマシーンだけに、五百年後になりますが…
 本命家の倉庫には、男の魔女が棲んでいる。
 ホウキで、掃除をしてくれるのは助かるが、時々、ホウキでゴルフスィングして、物をぶっ壊してしまう。
 また。ホウキをマイクにして『魔法使いサリー』を唄うのも困るが。
 あっ、昔、昔、夏休みの自由研究で、倉庫でマッコウクジラを飼っていたが、盗まれしまった。
 それよりも、十年前に、倉庫で鉛筆一本で銀行強盗した馬鹿な男がいたが…
 あっ、これは、本命家の秘密だった。
 絶対に、そんな事は起きてないぞ…
 絶対に…
 本命家の倉庫ネタは、まだ色々とあるが、そればっかりというのも味気ない。
 で、また倉庫ネタ。
 本命家の倉庫はあまりにも広く、東京ドームの便所が十三個ぐらい入る。
 知らない人が倉庫に入ると迷って、アフガニスタンに行ってしまったりする。
 一度、倉庫の中でトライアスロンをした事がある。
 1トンのタンスに潰される人、竜に噛まれる者、地雷を踏んで自爆する者、ギロチンでオカマになる者、クモの巣に引っかかってスパイダーマンになった者、新幹線に轢かれてペシャンコになった者、地獄の釜に落ちた者など被害者が多数出た為、一回で中止になった。
 聖徳太子だったか、馬小屋で生まれたと言われているが、俺は倉庫(肛門から出るのはウンコ、甘いのはアンコ、人数が揃っているのか確認するのは点呼)で生まれたらしい。
 だから、俺はお札になれるぞ…
 倉庫で鬼ごっこをすると、なぜか、鬼が二人になってしまう。
 かくれんぼすると、神隠しにあったり、自分でない他の自分を発見されたりする。
 昔、倉庫には、龍宮城があったのだが、若いカップルが、おっと、やばい、やばい…
 倉庫を調べていったら、小学校の頃のテスト用紙が出てきた。
 点数は内緒だけど『1+1』の答えが、『二本指』だって。
 また、テスト用紙の隅に落書きがしてある。
『亜朔 食硯旦』と書いてあるが、何の事やら、全くわからない。
 倉庫には本命家が宝にしている『クラインの胆壷』がある。
 壷の中に胆を吐くと、巡り回って外に出てしまい顔に付いちゃう不便なシロモノである。
 スキップが出来ない弟が、クラインの胆壷に飛び込み自殺しょうしたが、顔中に胆だらけで外に(食事中にすみません。それよりか、食事しながらネットサーフィーンするなってか)。
 もっと、倉庫を調べて行くと、本命家の家計図が出てきた。
 何、何…
 おおっ、な、な、何だ…
 これは凄い。
 本命家の先祖は『あんみつ』じゃないか。
 これが本当の『本命家のあんみつ』じゃなくて、『本命家の秘密』だ。
家計図の他に、本命家に伝わる『日本史解釈』が出てきた。
 要約してここに記しておこう。
『大和時代、卑弥呼女王が日本を牛耳っていた。たちまち、女番長卑弥呼女王を本命先祖は好きになったが、あっさり「ごめんなさい」で、振られてしまう。この内容は魏志倭人伝に記されているが、詳細は本命先祖の手により書き換えられて、謎の一部とされている。645年、蘇我氏をイルカに化けさせる。そして、本命の数々の先祖の手による日本悪事歴史が始まる。和同開珎偽造に、東大寺放火、農民いびりに、神護寺薬師如来像盗難。土を一気呑みする土一揆なんか面白かったと言い伝えられ、百姓一揆なんかは百姓を… 島原の乱では天草四郎を姿三四郎と勘違いして決闘を申し込んだり、家光に「参勤交代を二勤にしてください」と頼んだり、勘違いと言えば、鎖国をキリスト教を禁止する新しい国・鎖国が出来たと思ったりしていた。坂本龍馬の写真を踏み絵にして踏まぬ奴は打ち首にしたり、本命塾を作り変な事を教えたりした。文明開化時には、人の頭をザンギリ頭を叩き割って走り回り、本命帝国強兵化していった。そいでもって、日清・日露カップラーメン戦争、明治天皇暗殺未遂の大ドンデン返し事件、首相邸に青酸カリ入りチョコをバレンタインディー送る214事件等、細々な事件・戦争を起こした。第二次世界大戦なんか、心中するわ(真珠湾)奇襲で宣誓布告の米軍艦隊撃破、みつもどえ(ミットウェー)海戦、神風特攻隊編成し同士討ち、本土風船爆弾空襲、原爆投下誘導と日本軍の味方なのか敵なのか分からぬ行動をした。三億円横取り失敗事件、岡田有希子自殺に追い込んだり、日航機機長ギャグ噴射墜落事件、グリコ・森永声明文コピー、雲仙噴火装置誘導等と悪事が続いている。あんまり、最近の事を書くと時効の事もあるので…』
 本命家では毎年、予防摂取する事になっている。
 予防摂取とは毒の予防注射だ。
 青酸とか硫酸とかを少量づつ打ち、毒に対して抵抗力をつける為だ。
 親父は青酸カリを打ち過ぎ、病院に担ぎ込まれたが、注射の針は喰う、ベットは壊すわ、人の点滴にアルコールは混ぜるわ、看護婦さんにはイタズラをするわで、病院は大騒ぎ。
 母のように、硫酸を炭酸代わりに飲む程度にしておけば良かったのに…
 本命家の洗濯は、洗剤液替わりにライオンを使う。
 五人がかりでライオンを洗濯機に入れるのだが、先日、一人、ライオンに喰われてしまった。
 また、その洗濯機は、命の洗濯もするので、割と便利だ。
 プールになったりもするが、あんまり長く泳ぐと目が回ってしまう。
 昔、牛乳を朝、配達してもらっていたが、近所のガキが盗むので、退治してやろうと牛乳受けに強力接着剤を仕掛けておいたら、親父が引っかかっていた。
 これも、昔の話しだけど、弟とプロレスごっこをしていたが、だんだんエキサイトしてきて、ヘッドロック、アトミックドロップ、卍固め、逆エビ、ブレンバスターまで大技が飛び出し、調子に乗って椅子で弟の頭をぶん殴ってみたり、ボールペンを弟の目に突き刺したり、火炎瓶攻撃、とどめに仏壇からのパイブドライバーで病院送り。
 しかも、病院は『恐怖の貴方の病気は末期癌ですよ』の噂流しで、助かる患者も助からない病院。
 助かるだろうか…
 一度、刑事が本命家を家宅捜査しにきたが、なぜか、毒ガス兵器を見つけ出し持って行っただけですんだ。
 普通なら、家族全員逮捕されるか、事情聴取されるはずだが…
 兵器だけに、平気だったかもしれない。
 本命家の家庭の団欒では、本命語で喋らないといけない。
 喋らないと死刑にされる。
 例えば「夕日が地平線に消えてゆく」を本命語に翻訳すると「制約されてた人間の仮面の背後には理性と欲望の価値判断の斑点が満載に幼児的トポロジー化している為、無意識的模範行動をゲシュタルトして確認・認識しなければならない」となる。
 本命家でスキヤキ等の鍋料理になると肉争奪の激しい戦争になる。
 最初は軽く殴り合いだが、図に乗ると手榴弾を投げるわ、戦車で攻撃するわ、バズーカ砲まで飛び出し、どうしょうもなく、座布団で防御陣地まで作り匍匐全身もんで肉を取らないといけない。
 命がけなのだ。
 肉争奪戦争で五回も家が全焼になった事でも戦争の凄まじさがわかるだろう。
 凄まじいと言えば、本命家のトイレ、便器は普通の洋式なのだが、真夜中になると不気味な手が便器の中から出て来る。
 手の機嫌が良い時は、握手までしてくれ、お尻まで拭いてくれる。
 水を流す時だが、気をつけないといけない。
 部屋が突然、なぜか無重力状態になり、便器の中の物が飛び出てくる。
 しかも、ドアが開かなくなり、部屋自体もグルグルと回転し始めるので、トイレの中は壮絶。
 汚い話しついでに、一度、寿司屋の出前を頼んだ時に、バイトの学生が勢い込んで駆け込んできたのは良いが、寿司じゃなくて、ウンコを持ってきやがった。
 おっと、色々とつい書き過ぎたようだ。
 これを読んだ限りは、絶対に、これは秘密にして欲しい。
 そうでないと、貴方には…



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