科学者は分娩室の待合室にいた。
十年来の恋を実らせ、ついに父親になりそうだった。
科学者は父親になる期待と不安で胸が一杯だった。
それと、もう一つ。
科学者はある実験を妻の身体に施していた。
その実験とは、四次元人間を誕生させる事だった。
妻は科学者の造った子宮の中に四次元空間を発生させる次元変換装置を内臓させ、妻は妊娠した。
科学者はゆっくりと時間が進む中、これまでの四苦八苦する実験の数々の失敗の苦労、妻の献身ため励まし等、色々なその実験にまつわる思い出を浮かべていた。
その時、分娩室からけたたましい悲鳴が聞こえてきた。
科学者はすぐさま、分娩室に入っていた。
ドアを開けた時、部屋の中には、マグロ、武士、ツチノコ、シーラカンス、宇宙人、鬼、三葉虫など様々な生物・無生物がいた。
妻がどんどん産んでいる。
妻の子宮は受胎した赤ん坊の前世・来世と魂を宿した生物・無生物を産み出していた。
そして、科学者は驚いた。
妻は恐竜まで産もうとしていた。
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