俺は三日間、気を失っていた。
三日間、ずっと部屋で寝ていたのだ。
ぼーっとする頭で考えた。
それにしても、結婚式はどうなったのだろうか。
俺が気を失っている三日間の間に、俺とミチヨとの結婚式があったのだ。
俺はミチヨに電話した。
新婚旅行は色々な事情で数ヶ月後にしたので、ミチヨは会社にいた。
ミチヨいつもと変わりなく電話に出た。
「結婚式? あなた、酔っ払って、私のお父さんと演歌を一緒に歌っていたじゃない」
「ええっ」
俺は歌っていない。
気を失っていたのだ。
俺は何が何だかわからなくなった。
それから、二十五年後。
俺が気を失っている間に、俺の結婚式が滞りなく行われていた謎が、やっと、わかった。
俺以外の人が暗示にかかっていたのだ。
当然、新婦の隣りに、俺がいると、皆が思っていたのだ。
なぜって・・・
ほら、息子の結婚式に、息子の隣りに嫁さんがいないのに、皆が騒がないからさ。
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